SUGA/AgustD TOUR in NewYork 4/26,27,29参加レポ

バンタン
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なかなかこんな経験もないかなあと思う気持ちと、

推し活・旅行が年に何度かのスペシャルな恒例行事になるのでは?という予感を感じたことを記録しておきたいので記事にしておきます。

Twitterでも「#イロNY」でNYの模様は写真付きで細々あげているので良ければそちらも合わせて見ていただけたら嬉しい。

 

※当然のようにネタバレ満載なのでセトリを知りたくない人などは注意してください。

※途中で使用している写真は全て私が撮影したものと公式から出ているものを使用しているため、

公演写真はNYコンサートのものではないものもあります。

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NYに到着するまでは

「やっとユンギに会える!」という思いでいっぱいだった。

2年間彼のことが好きで、好きで仕方ない私は彼に会ってしまったら

一体どうなってしまうのかというちょっと不安な気持ちと、

早く彼に会って化学反応を起こしたいというワクワクが半々くらい。

 

NYに到着してみると、まず5年ぶりの海外で「うわ、怖」という感情が来た。

NYに来たのは3回目だけど(以前はミュージカルを観に来ていた)、その時は「汚いけどエネルギーのある世界の中心の街」という印象だった。

でも怖さを感じたことはあまりなかった。

 

到着早々、チケットをとってくれ、同行してくれた友達(Yちゃんとする)とタイムズスクエアで写真を撮った後、23時頃ホテルに帰るために歩いていると、

路上で寝る沢山のホームレスの人、英語ではない言語で話しかけてくる人、

「Hey Jesus‼︎」と言いながら走っている車に片っ端からぶつかりに行っている人などがいた。

タイムズスクエアの近くなので、治安が悪いわけではない。

でもまあ、今思えばそういう人が多くなりがちなエリアなのかもなと思う。

 

ともあれ、初日の洗礼を受けてしまった。

4/26 UBSアリーナツアー初日 VIP(サウンドチェック付)参加

 

時差もあって2時間くらいしか眠れず、翌朝からコンサートのフロア参加のため

「9時より前には来ないでね」というアナウンスに従って9時には会場に着いていたかった。

 

でも、私が初めてのフロアなので

何を準備したらいいのか、あれを持てばいいのかこれはどうしたらいいのかこの服では寒くないか(結果めっちゃ寒かった)、色々やっていると30分も待ち合わせ時間に遅刻してしまった。

そのせいで会場到着が10時くらいになってしまった。

 

これはYちゃんには本当に申し訳なかったと今でも一番悔いていることだ。

結果的には、9時に着いても既に並んでいる人は多分数百人いたんだけど、

9時に着いていればもっと前に行けたかもしれないし、Yちゃんの欲しがっていたグッズも買えたかもしれなかったのに。

これからお友達とフロア参加する方はその辺の優先順位を擦り合わせておくことと、

初めてのフロア当日はめちゃくちゃ慌てるので、日本にいる時からフロア用バッグに不備はないか(サイズなど規定をしっかり確認し)詰めておくくらいがいいと思う。

 

 

さて、並び始めて2時間後、リストバンドとVIPのネックストラップを手に入れ、

1021番をゲットし、時間になるまで一旦解放になった。

物販で欲しかったものも買えた。(Yちゃんはまだ欲しいものが残っているらしいので中でも買う!と張り切っていた。かわいい)

 

それにしてもこの時点で私はUBSのスタッフの優しさと、コンサートを盛り上げよう!という配慮に何度も感動した。

 

リストバンドをもらう時も2000人ほど並んでいる全員に丁寧に

「これをつけて、このあとこれがこうだからここに来てね」って教えてくれる。

列整備のスタッフも「hey ARMY!ここはこうしてね!」って声をかけてくれる。

チョークを用意し、「会場の外の地面にSUGAへのメッセージを書いてね!」と企画してくれた。

会場の外には沢山のアミからユンギへの愛のこもったメッセージが溢れた。

 

Twitterを見れば、アミのツイートをRTしたり、コンサートについて沢山ツイートしてくれていた。

後に会った友達が、「こんなに朝早くからこんな人数が整然と並ぶなんてクレイジーだよ!!SUGAとARMYは本当にすごいね!」と会場スタッフが言っていたと教えてくれた。

ここまでしてくれるなんて、と何度も感動した。

次回もNYでイベントがある時はUBSがいいな、と強く思ってしまう(BTSでやるにはキャパが2万少々だから小さいけど)。

 

アミも素晴らしい。

途中で何度もアミからソンムルをもらい、英語が堪能ではない私が「これはなんの列?」と聞けば皆親切に教えてくれた。

割り込む人もいないし、時折喧嘩している人はいるけれど、ほとんどの人はお互いへの配慮と「同じアミだから」という愛情を持っているように感じた。

色んなコスプレやオリジナルグッズをお互い「COOL!!」と言い合い、写真を撮ったり、「これはどうやって作ったの?」と聞いたりしていた。

かわいい。

会場自体も競馬場が併設されていて敷地が広大なので、待機列も物販も何もかも会場内で事足りる。

なので、その会場全体がその日はユンギがジャックしていて、ユンギーランド化していた。

皆ユンギが大好きで、リスペクトしていて、今日を全力で楽しむぞ!!という期待でみちみちなのを感じて開演前から満たされた気持ちになった。

 

 

時間になり、会場にやっと入れた。

 

Yちゃんが物販列に並んでいる間に私はフロアの列を探して並んだ。

適当に並ばされるんだろうなと思っていたけど、リストバンドの順番に完璧に沿って案内された。

今思えば当たり前なんだけど(朝早くから並んで若い番号を手に入れた人が早く入れなくなるから)、300人くらいで分けられた列に頻繁にスタッフが来て、1人1人リストバンドを確認し、

「あなたはここ」と入れていってくれている。

 

そうこうしているととんでもないことが起きた。

会場からリハーサル中のユンギの声が聞こえてきたのだ。

その瞬間のアミの絶叫といったらなかった。

(後からわかったのは、カーテンで仕切られただけだから全部丸聞こえだった)

隣に並んでいたアミが血相を変えて「これサウンドチェック!!??もう始まったの???!!!」と聞いてきた。「リハーサルだと思うよ」と返した私も足がガクガクしていた。

 

ユンギだ。

この壁一枚隔てたところにユンギがいる。

今までで最も確かに彼に近づいた瞬間。

頭の中心から背筋を通して全身が冷えるような、雷が走るような気持ち。

ああ好き、好きだ、この人の声、好きに決まってる。

 

流れてくる曲に1曲ずつ大歓声が上がる。ロビーで始まるSeesaw大合唱。

Shadow、Cypher、UGH!、ddaengのBTSメドレーの時は開演前なのにアミはノリノリで飛び跳ねて歌う。

私はと言うと流れてくる曲の1曲1曲に天を仰ぎ、

BTSメドレーが流れてきた時にはさすがにしゃがみ込んで動けなくなった。

号泣しているアミもいたし、Yちゃんも「なんかもう気持ち悪い」モードになっていた。

私もこの頃から開演までずっと内臓がぎゅっと纏められたような感じになっていた。

 

スタッフさんと韓国語でやりとりするユンギの声、リハーサルで完璧な伸びやかな歌声、完璧な打感のラップ。

音漏れタイムは40分ほどだっただろうか。一周回って「もうさっさと終わってくれ」モードになったあたりで終わった。

 

 

あと30分ほどでサウンドチェックが始まる。もう本当に色々限界だった。

何か食べると本当に吐きそうだったので水を買ってきて、トイレに行ってサウンドチェックに備えた。

 

そして、ついに時間。

女性スタッフから「絶対に押さない!走らない!守れない人はID(パスポート)確認して二度と絶対に会場に入れないから!守れる?よし!始まるよ!!」とブチ上げ案内をされ、場内に入った。

誰も走らず、押さなかった。

 

会場全体に「SUGA/AgustD」の文字が流れ、スクリーンには「D-DAY」の文字。

鎖で張り巡らされたように見える舞台。

期待に満ちてフロア前方に集まるアミ。

まだ客席に誰も入っていない広い会場。

これからここは彼を愛する人だけで埋め尽くされるんだと思うと震えた。

 

 

フロアの⅕程の場所についた。

待って。近すぎないか?

あのステージ上にユンギがくるとなると、10mほどでは???

 

普段ならパニックになる状況だが、

実はこの頃から感情の波がほぼフラットになっていた。

今日1日あったことの感情へのアタックが強すぎたのか、ここまできて開き直ったのか、

10mの距離にユンギがこれからくるのに、これからこの場所を死守すれば彼とこんなに近くにいられてコンサートに参加できるのに。

それについては心が凪だった。

 

それよりもむしろ157cmの私はどうやって人波の中でいいポジションで彼を見るかに考えがシフトしていった。

なんかこの感情の変化ってとても動物っぽい。

 

そうこうしているうちに舞台に明かりがつき、会場が割れんばかりの大歓声。

彼だ。

ユンギだ。

 

黄色のサングラスをかけてカーキのカーゴパンツと黒いTシャツとパーカー姿の、

ノーセットすっぴんの彼。

 

恐れず正直に感想を言うと、

「めっちゃ普通のお兄ちゃんじゃん」だった。

 

全身からスターオーラを出しているキラキラの雲の上の人ではない。

男性だし、人間だ。

私の中の彼の印象とも完璧に一致していた。

思っていたより大きいとか、かっこいいとか、驚くほどない。

あ、でも肩幅は思っていたより大きかったかな。

 

私が好きでたまらない、可愛くてかっこよくて、でも置いて行かれている気が全くしない、

あの大好きな彼のまま、彼はそこにいた。

 

そして、我ながら信じられないんだが、

彼が出てきた瞬間に色々なことで張り巡らされていた緊張と感情の糸が、すっと取れた。

ものすごく落ち着いた。

「キャーーーー!!!!!」って言ってはいたけど(それはそう)、内心はあまりキャーじゃなかった。

「あなた、ほんとに、そのまんまなのね」という圧倒的安堵。

今まで私が画面越しに愛していた彼が実在するという確かな実感。

 

愛想を振り撒くわけでもなく、特に笑顔を見せるわけでもなく、

猫みたいに舞台を歩き回ってアミを見て、歌って、「See you again soon!」と言ってサラッと去っていった。

私から見える彼の大きさはスマホより一回り大きいくらい。

もちろん表情も仕草も完璧に見える。

人の頭と上げられるスマホをかいくぐって彼を見る。

一緒だ。やっぱり、私の中の彼と寸分違わず一緒だった。

 

 

後に、初めて彼を見たのがサウンドチェックで本当に良かったと心から思った。

本番のAgustDは開始1秒目からあまりにもかっこいいので、最初がAgustDモードの彼だったら

「あ、やっぱり遠い人だ」って思ってしまったかもしれない。

寂しさと遠さで凹んでいたかもしれない。

でも、サウンドチェックで現れたユンギは、私の心の隣にいつもいてくれる姿のまんまだった。

初日のサウンドチェックから参加できたという偶然に心から感謝した。

 

そして、この頃から不思議な感覚があった。

繋がっている感覚。

彼が出てきた瞬間の圧倒的な安心感と、何とも言えない繋がっている感覚。

私の妄想だろうと言われたらそれはそうなんだけど。確かに感じたんだから仕方ない。

 

 

サウンドチェックから開演までは1時間ほど。

スタンディングなのでその場から動くわけにはいかない。

アメリカアミはその場に座り込み、友達と参加しているアミはピザを買ってきたり、

飲み物を買ってきたりと自由だ。

まったりと開演を待っているような空間の中で、これからとんでもない体験をするんじゃないかという予感で居ても立ってもいられない私は、開演前の緊張感で怒涛のようなLINEを友達としていた。

感情の置き所がない。

 

さっき撮ったユンギの写真を友達に送って、

「待って、近すぎるんだけど」

「こんなに近くでコンサートが始まったらどうなってしまうのか」

「イメージのまんまのユンギだった。そのまま」

「ああどうしよう開演時間になった」

と興奮しながらも、頭の片隅がヒヤリとするような緊張感。

 

30分ほど開演が押して、客電が暗くなった。

会場が割れんばかりの歓声。

そうだ、私はBTSのコンサートに参加したことがないので、

この時初めて会場いっぱいに満たされたアミの歓声を聞いた。

VCRの時点で今にも倒れてしまいそうな力で叫ぶアミ。

これから始まる伝説の予感を全身で感じていた。

 

大歓声の中、彼が現れる。

ダンサーに抱えられて舞台に横たわり、彼が登場した瞬間にもう会場のボルテージはマックスだ。

 

フロアは文字通り揺れる。

誰も押し合うことはなかったけど、怒涛のような感情に飲み込まれるようにコンサートは進んでいく。

彼が立ち上がってコンサートの幕が開く。

Haegeumで全身を使って体をビートに打ち付ける彼はあまりにもかっこよかった。

ごく最近リリースされた外国語の曲だけど、会場全体が「聴きこんできましたよ!」と言わんばかり。満を持して完璧にコールがハマって気持ちいい。

大吹打は正に王。ユンギペンが2年間温め続けた大吹打のコールと共に会場が真っ赤に染まった。

AgustDでは「A to the G to the」の合唱で揺れる。個人的にはここの掛け合いが一番「ラッパーのコンサートに来ている」感があって気持ちいい。

 

 

けれど実は、この辺りまでなんだか頭の芯まで乗れていなかった。

どこか冷静というか。どこか冷めているというか、遠くで見ている感覚というか。

 

スタンディングで人の頭の間から彼を何とか見なければいけないから、そっちに思考が持っていかれたのもあるかもしれないけど、

「彼が命をかけて準備してくれたコンサートに何で没入できないんだろう」と悔しさすらあった。

でも、途中でふっと感じたのが、「ああ、彼も冷静なのかもしれない」ということだった。

何でこんな思考になったのか上手く説明はできない。

「感じた」としか言いようがない。

 

今回のNY滞在中ずっと彼と「繋がっている」感覚があって、それが一番強く感じられたのはこの時だった。

彼は当然パフォーマー側だから冷静である必要がある。

メタ視点で全体を見ている部分もあるだろう。

私がパフォーマー側だったら、何ステージかこなしてきた後ならそのメタ視点もどこかに置いて楽しむことができると思う。

でも、この日は初日で、やっぱり彼も「やってみなければわからない」という冷静な自分を持ち続けていたんじゃないかなと思う。

でもこんな話は本人に聞いてみないとわからない。

私の思い込みだろう。

いや、実は思い込みだとは思っていないんだけど。

感じたことがすべてだから。

 

とにかくこの辺りで「ああ、彼も冷静なんだ。彼と感覚を共有しているんだ」という

「答え」を得られて、ここから余計なことを考えず、彼と寄り添うような気持ちでコンサートを全身で楽しめた。

 

彼がギターを取り出してSeesawのイントロを弾き始めた時に上がった歓声はもはや悲鳴だ。

SDLでの「you」でアミを指差すのは罪すぎる。

People、People pt.2ではゆったりと彼の歌声に魅了されて揺蕩う。

さすがアメリカアミ、英語パートの歌詞も完璧だった。

 

Moonlightでは突然クールなラッパーに戻り、あのかっこよすぎるメロディにまた会場が縦ノリになる。

コンサートにいくともっと好きになってしまう曲、というのがあると思うけど、

今回の私のそれはBurn itだった。

「そんなに?!」っていうくらいの量の炎、その真ん中で堂々と歌うユンギ。

会場はもう爆発していたと言っていい。

 

VCRを挟んで二幕目。

Shadowのイントロが流れた瞬間、会場が文字通り揺れた。

ここの演出は本当に芸術そのものだった。

彼の背中を追うように伸びるダンサーの無数の手。翼のようにも見えるし、

彼を捉えて離さない網にも見える。

会場中から彼に向けられる数千のカメラ。MVの世界観が観客も巻き込んで巨大に展開されていく。

何もかも彼の思い通りだ。それが気持ち良くてたまらない。

 

BTSメドレーではもう訳がわからないくらいに盛り上がった。

もうこの頃にはアミはもうほとんど聞いていなかったと言っていい。

それくらい冷静な感覚なんてかなぐり捨てて全員で「OMG!!」と叫んだ。

一緒に歌うのが楽しすぎる。当然ユンギパートしかないので、それ以外の2人のパートがちょっと入ってくる部分ではアミが2人の分を担当した。

「I love myself」コールがこんなに楽しいなんて。

その後のメントでも繰り返されるお決まりのコールになった。

それにしてもddaengまで入れてくれるのが、もう、本当にアミのツボがわかりすぎている。

 

そこから完璧な流れで入ってくるHUH?!、「’bout me」コールが楽しすぎる。

 

ここまで書いていて改めて思ったけど、何の打ち合わせも事前の「コールをこう入れてね!」というアナウンスもない中、完璧にやるアミは本当にすごい。

ただただ外国語である彼の曲を聴き込んで、「ここでこうノったり、声を出すのが気持ちいい」というところで声を出したら完璧にハマるあの感じ。

あの化学反応が生まれる瞬間に立ち会えたのは初日の醍醐味だ。

2公演目以降はやっぱりみんな予習してくるので、「型」がある程度決まってくる。

0を彼とアミで1にした夜。本当に初日に参加できてよかった。

 

それはそれとして、BTSメドレーの時は「ここはこう歌うのね!」という正解が既にある曲に入るとさらに盛り上がりが桁違いだった。

どちらにも立ち会えた私は本当にラッキーだった。

 

一旦メントを挟み、Life goes onのために舞台の下のピアノの前に座るユンギ。

私はこのLGOが今回のコンサートで最も彼からのメッセージを感じる曲だ。

「人生は続く」「でも君たちを信じてる」「愛している」というメッセージを全身で感じて、

客席を埋め尽くすアミボムの海に一緒に揺蕩っている感覚。

そしてSnooze

ここでのVCRで坂本龍一さんが現れた瞬間、会場から「…Oh…」という声がそこらじゅうから聞こえた。

坂本龍一さんが世界でそのお顔までも当然のように知られていることを肌で感じて感動した。

暖かいのに息を呑むような迫力で歌う彼に、クライマックスに近づいているのを感じる。

 

Polar nightではスタンドマイクに叩きつけるように、掬い上げるように歌う。

蜘蛛の巣が少しずつ広がっていって視界が悪くなっていくような効果を伴って彼を写すモニター。

AMYGDALAではもう、ここに至るまでで喉を酷使しているのは十分すぎるほどわかるので、イ

ントロがかかると同時に会場は割れんばかりの歓声に包まれるけど、私は彼の喉が心配でじっと舞台を見守った。

水を持ったままこまめに補給し、サビでの絶唱に鳥肌が止まらなかった。

正直、音程が合っているわけではない。それはそうだ。ここまでで喉の消耗は相当なものだから。

でも、そんなことは本当にどうでもいい。

喉が潰れたような音で、叩きつけるように、叫ぶように、全身全霊で歌う彼の姿は、引き裂けるような痛みと苦悩の爆発だ。

あらゆるものを犠牲にして、乗り越えて、でも諦めなかった彼の生き方を示すような曲。

これを聴くためだけにでもこのコンサートに行く価値はある。

 

倒れた彼はダンサーに抱えられてハケる。

 

 

その後はBTSコンサート名物、アミお手製のボードを見ながらアンコールを待つ時間だ。

アミのボードに書かれた文字には胸を打たれるものばかりだったけど、

バンタン7人のイラストが描かれたものがモニターに映し出された瞬間の歓声は凄まじかった。

その後に、ゆっくりと、そして力強く「BTS!BTS!」コールが起こったのには涙腺が緩んでしまった。

 

そして現れた彼。また割れんばかりの歓声。

 

大盛り上がりの中始まるD-DAY。アルバムの1曲目をアンコールに持ってくるあたりがニクい。

カッコ良すぎる。

バンドメンバーの紹介とダンサーの紹介でまた大盛り上がりの会場とステージ。

 

最後のメントだけは韓国語で話すユンギ。

(ここまでずっと英語で話していてめちゃくちゃ英語上達している)

「Amazing」「色んなコンサートをしてきたけど、歓声の大きさでは過去一じゃない?」と言ってくれた。(そしてこの「過去一」は公演ごとに更新されていくことになる)

 

一生懸命準備して、大切な想いを持って来てくれた。私は英語も韓国語も堪能ではないので、正直彼のメントの意味は半分もわからないんだけど、充分伝わってきた。

人の気持ちの伝わり方って本当に不思議だ。

 

そこからまさかのNever mind

ここまで辿り着いた彼のことを思うとこの曲の響き方が全然違う。

胸いっぱいで「Never mind」の大合唱をするアミ。

 

そして、The Last

私の人生を変えた曲。

この曲への思い入れはこの二つの記事で書いているので合わせて読んでいただけたら嬉しい

 

カメラに囲まれたスタンドマイクの前に立つ彼。9つのモニターに映し出されるその姿。

もう痛々しさはない。強さと、優しさと、「俺は変わらないよ」と言ってくれているようなあの瞬間。

 

歓声を上げることも忘れた。

世界には私と彼だけで、彼が私に向けて歌ってくれているような不思議な感覚。

「Shit!!」で一気に舞台の明かりが消え、客電がつく。

 

 

茫然自失。余韻なんていう軽いものじゃない。

さっきまでの時間が全て幻だったの?と思ってしまうような浮遊感と喪失感。

 

Yちゃんが人波をかき分けて「ああやっぱり放心してる」と言いながら来てくれた。

正に放心状態だった。

 

帰り支度してさっさといなくなるアミ、楽しげに友達と記念撮影をするアミを見て、

「え?正気?」と思った。

さっきまで、ほんの一瞬前まで、あんなすごい感情の爆発に触れていたのに、

なんで急にそんなに「自分」に戻れるの?と思った。

 

彼にとっても、今でもThe Lastは大切な曲だった。

コンサートの最後に持ってくるほどに。

 

その事実は、「生きてきてよかった」と私に思わせるのに充分だった。

終演後、あまりにも素晴らしかったので最終日はブロードウェイにミュージカルを見に行く予定で、そのチケットもキャンセルできなかったけど

29日のニューアーク公演も行くことにした。

帰りの電車の中でStubHubでチケットを探すと、いい席が7万円ほどで出ていたので即決した。

この時点でNYではもう一切無駄遣いできなくなった。

本当にこれで貯金がゼロになる。

金策は考えたが、後悔は全くなかった。

4/27 UBSアリーナDay2 参加

 

席があるというのはこんなに心を楽にするものか。

12時まで寝て何とか起きた。

 

今日はイロ直帰ラジオ(私が相方の直帰と2年近くツイキャスで続けているラジオ)リスナーの方がなんとNYにいて、

今回のコンサートのための交通手段など色々教えてくれていたので、彼女とランチをする予定だ。

 

チェルシーのおしゃれなレストランを見繕ってくれ、

とっても可愛らしく親しみやすいSちゃんと会った。

今回のNYで初めてのちゃんとした食事だ。

今まではコンサートの色々を優先したために、

パンやエナジーバーのようなものしか摂っていなかったので美味しいサラダとハンバーガーと飲み物に感動した。

 

沢山バンタンの話や、生き方の話、私の仕事(カウンセリング、コーチング)の話をした。

イロ直帰ラジオでどこが好きかも教えてくれて、本当に楽しい時間だった。

 

仕事にでかけたSちゃんと別れ、少しだけチェルシーを散策した。

 

 

20時開演で18時に会場につくと数千人が並んでいてビックリしたけど、ドアオープンと共に驚くほどあっさりと列は進み、会場に入れた。

中でYちゃんと合流し、この日はホットドッグを食べたり、ビールを飲んだりして快適に開演までの時間を楽しんだ。

2日目はVCRと舞台装置を見て思った感想をまず書いていきたいと思う。

VCRの詳細については覚えていないこともあり、ざっくりとした印象のみで申し訳ない。

 

舞台装置は、幅2mくらいの長方形の舞台が、ワンブロックずつ天井から鎖で吊られている。

12個くらいだろうか。

ユンギがウィバスライブで「天井がある会場でないとできない演出」と言っていたのはこれだ。

 

真っ先に目に飛び込んできた印象は、彼の心がこんな風にがんじがらめだったのかな?ということだった。

それくらい、舞台の上は鎖でいっぱいだ。

 

コンサートの最中は、彼のカタルシスのような曲を終えるごとに天井に吸い込まれていく舞台。

色んなものに縛られていて心が様々な辛い思いで一杯だったユンギが音楽によってその鎖も、

地面(拠り所?かつての価値観?)からも解放されていく。

少しずつ鎖が無くなっていき、彼にとっての「舞台」(ペルソナ?)も、どんどん減っていく。

最後にはひとつも舞台がなくなって、地面に設置されたスタンドマイクの前で彼はThe Lastを歌うわけだけれど。

それは、ミンユンギという人間に大きくのしかかった「BTSのSUGA」としての

鎖、抑圧、用意されてしまっている舞台、期待のようなものから解き放たれても、

それでも僕は歌い続けるよという意思表示のように感じた。

 

 

VCRは、幼い彼から始まる怒涛の「多難」を思わせる濁流のような演出で始まる。

画面が切り替わり、雨の中横たわるユンギ。

雨、バイク、事故。このキーワードを知っているアミには充分すぎるほどの描写。

 

ユンギ、SUGA、AgustD、それぞれの人格の役割、立ち位置が示される。

AgustDが殺そうと狙っているのはSUGA。

様々な過去の断片、3人を形作っているもの、その絶妙な均衡と均衡の終わりを示唆するような演出。

タバコ、ライターをカチカチとする癖、花様年華期のフラッシュバック。

 

トイレの床で目覚めるユンギ。

自身の力で小さな部屋(扁桃体?)の中の、かつての自分を燃やす。

けれど、それすらも監視して演出している自分。メタの位置から全てを見ているのもまた彼。

それらの人格は統合する必要もなければ葬る必要もない。

全て彼の一部であり、彼の表現はこれからも多面的で、ここで終わりではないというメッセージに感じた。

 

三人の人格を統合する必要もないしそれぞれの人格には役割がある。

彼の扁桃体の中の痛みは少しずつ外れていって、今はもう大丈夫なら、結末すらいらないのかもしれない。

「結末」なんていうのは非常に創作めいたことで、私達の人生は続く。

もちろん彼の人生も。彼の人生が創作物でないのだから、今の、過去の延長線上に未来のユンギも、SUGAも、AgustDもきっといる。

 

 

コンサートは2日目も勿論素晴らしかった。

昨日より更に歓声が増していて、昨日と違って私は座席から全て見えたので、演出の全容がわかって全く別の体験をしたような感じすらあった。

 

さらにこの日気付いたのが、彼がいわゆる「憑依型アーティスト」ではないかもしれないということ。

 

パフォーマンスの最中は狂気すら感じる力で観客を巻き込み、狂わせ、没入させる力を持つけど、

メントではいつものユンギのテンポでのんびり話し、でもきちんと盛り上げ、曲に移る。

その緩急で観客が我に返らずまた没入してしまうのが本当にすごいなと思った。

そこに「切れ目」のようなものは感じない。

 

「憑依してる」ことを表すために終始芝居じみてしまう表現者もいる。

そういうのを正直寒いなと思う時もある私はその加減が絶妙だなと感じた。

 

自分の中のチャンネルを切り替えてやってますよ、

別にずっと冷静ですよこれは、

なので安心して楽しんでください、という感じ。

それでも悪寒を感じるほどの表現で一瞬一瞬をスペシャルにしてしまう。

 

「あらゆる感情を全て一度飲み込んで表現に昇華しました。曲作ってるのは全部僕なので」

というのが言外に滲むかっこよさ。

全て彼のコントロールの上であり、だからこそ安心して遊べる。

彼が用意してくれた舞台、彼が示してくれる通りに楽しめばいいのが全身で感じられる。

「何も気にせずに遊べばいいんだよ」と

規格外の包容力でこちらのタガを外してくれる感覚。

 

アミボムの海も本当に美しい。

大吹打で会場を埋めつくす赤のアミボムと、その中心で場を掌握する彼からは狂気すら感じてボルテージは即MAXになる。

 

力の限り叫ぶアミも、ユンギが指を唇の前に立てて「しーっ」とやれば即黙るという掛け合いも生まれた。

 

昨日の分も疲労が蓄積している喉でAMYGDALAに辿り着く。

個人的にはNYでの3公演の中でこの日のAMYGDALAが一番心に迫るものがあった。

 

叩きつけるように潰れかけた声で叫ぶユンギ。

なぜかその姿からはマイナスの感情は感じないのに、ここまで戦ってボロボロになった彼を思って胸が引き裂かれそうだ。

 

 

そして、

最後の曲、The Last。

その前のNever mindを聴いている間、私は離れたくない、置いていかれたくない、という思いで満たされていた。

本当に終わってほしくない。この時間がずっと続いて欲しい。

 

その時、突然昔の記憶がよみがえった。

 

産後鬱で誰にも心を許せず、誰にも理解されず、

たった1人であらゆるものと戦って生きていかなければいけないと思っていた頃。

今持っているものを何も持っていない頃。

全てに怒り、全てに絶望し、全てを憎んでいた頃。

全ての可能性を塞がれたと思っていた頃。

ユンギがいなかった頃。

世界に色を失っていた頃。

 

雪の降る真冬のスーパーの駐車場で、車の中でぼーっと再生したYouTubeの和訳付きThe Last。

「お前ら誰の前で苦労した顔してんだよ」

「俺のファンよ堂々と顔上げてろ 俺くらいできる奴いないだろ」

 

冷たい雪に覆われた車の中でうずくまる私を見つけてくれた彼が、しっかり手を取ってくれたようなあの日の感覚。

誰にも重荷を代わってもらえるなんて思ったこともなかった私の辛いものを全部抱えて、

背中を見せて、顔を上げろって言ってくれたあの日の感覚。

私を脅かす全てのものに「Shit!!」と言ってくれた感覚。

彼が怒ってくれたのは私のためだと思った。

私の二度目の誕生日。

 

The Lastが始まると同時に涙が止まらなかった。

目の前で歌う彼が答えだと思った。

あの日から何もかも変わったのは彼がいたから。

目の前で命を燃やして歌う彼にどう感謝をしたらいいんだろう。

こんなに受け取っていいんだろうか。

こんなに持ってもらっていいんだろうか。

彼に持ってもらったことで、驚くほどなくなっていつの間にか消えていた私の痛みを、重荷を、この2年を。その奇跡を。

これが愛じゃないなら世界に愛なんてない。

 

彼の歌に包まれながら嗚咽した。

彼が泣くことを許してくれるなら私は泣けるんだと感じた。

どうしてこんなに存在丸ごと愛で、奇跡なんだろう。

どうしてこんなところまで包み込んで救ってくれるんだろう。

 

「Shit!!」と同時に客電がついて終演した。

立ち上がれなかった。

座席に座って顔を覆って泣いた。

なかなか止まらなかった。

しゃくりあげて泣く私に、隣の席のアミが「Are you OK?」と優しく聞いてくれた。

「あなたも彼に救われたんだね」と言っているような瞳だった。

泣きながら頷いたら、心配そうに去っていった。

 

この気持ちを抱えたまま帰りたかったけど、

この後体調のトラブルがあって医務室に連れて行かれた。またYちゃんに迷惑をかけた。

英語が堪能ではない私の代わりにスタッフと私の状態を説明してくれ、パスポートを出したり沢山世話をしてくれ、

「電車が混みすぎて帰れなくなるといけないから先に帰って」と言っても「この状態のイロさんを置いてったらひどい奴って思われそー(笑)」って明るく茶化してくれた。

彼女にとってユンギのコンサートは取れている限り最後の公演だったのに、その後にこんなことに巻き込まれて、

何もかも迷惑しかかけていないのに、本当にありがたい人だった。

4/28 合間の観光DAY

 

今回のNYで唯一の観光用の日だ。

 

この頃には私はすっかりNYが大好きになっていた。

初日は少し怖い思いをしたし、その後も色々日本の感覚から見たらぶっとんでいることも起きているけど、

「Hey dear」と話しかけてくれ、人懐っこくて人との距離感が絶妙なニューヨーカーが好きになってきていた。

何もかも汚いし、物価は高いし、ぶっちゃけ食事もあまり合わない。

でも、この独特の雑然としたエネルギーが好きだ。

 

Yちゃんにチケットを取ってもらったお礼と、

今日まで色々世話を焼いてくれたお礼に、ステーキをおごらせてもらった。

ステーキくらいでは済まないくらい本当にお世話になった。

昨日までのコンサートの夢のような体験と、戦利品であるグッズの話や、この数日の話を色々した。

NYの本場のステーキを楽しんでくれてよかった。

 

 

その後2人でグランドセントラル駅に行った。

 

バンタンがONのパフォーマンスをした場所を緻密に見つけ出すYちゃん。

「ここです!!ここに立って下さい!!」とパフォーマンスの場所を完璧に見つけて指示してくれたので、2人ともバンタンがパフォーマンスしたであろう場所で写真を撮れた。

時計が付いた総合案内所みたいなところがあるんだけど、そこからそんなに離れていなくて、

「このスペースであのパフォーマンスをしたのか…」と思うと胸熱だった。

「あのあたりからユンギが舞台になるところを見下ろしてなかった?!」と2階に写真を撮りに行く私。

(ちなみに反対側だった。あとそのあたりは今Appleショップになっている)

グランドセントラル駅自体がとても美しい場所なので、素敵な写真が沢山撮れた。

 

 

その後は別行動になり、五番街に買い物に行ったついでにセント・パトリック大聖堂に行った。

何も考えずに入ったんだけど、中に入った瞬間に正に「聖場」という場の空気に圧倒された。

以前NYに訪れた時も来たことはあったけど、今回はユンギのコンサートで感受性が限界まで開いていたためか、場のエネルギーをビシビシ感じた。

ちょっとだけ見るつもりが、30分も座って祈りをささげてしまった。

 

なんだかとっても癒されて外に出たら雨が降っていた。

雨の中帰りしなにVictoria’s Secretに寄ったりしながらホテルに着いた。

この雨は翌日もずっと降り続くことになる。

4/29 Newark プルデンシャルセンター 参加

 

NYコン最終日だ。

 

27日にSちゃんとランチを食べた時、

「私、LAコンの後、帰りの飛行機で心臓がぎゅーって小さくなる感覚があったんです。

こんなに好きなのに、こんなに繋がっている感じがあるのに、

なんで離れなくちゃいけないんだろうって。

多分イロさんもそうなりますよ」

 

と言われて、その時からじわじわきていた「寂しい」がいよいよ抑えられなくなっていった。

全身の末端が冷えて、体の中心に寂しさが集まってどうにもならないような感覚。

開演時間が近づくほどに強くなる。

 

午前中少しだけ観光をして、Sちゃんとランチを食べ、会場に向かう。

Sちゃんはサウンドチェック付きのVIPチケットを取っていたので先に会場に入っていった。

 

 

雨の中、開場待機列に並んだ。

傘を持っていないアミもいて、寒そうでたまらなかった。

 

UBSと違って街中に行列する形になるので、違法グッズを販売する人や、色んな人が話しかけてくる。

徹底無視をして、傘をさしてドアオープンを待つ。

 

UBSでの2日間とは雰囲気が違っていた。

UBSのスタッフは本当に素晴らしかったし、

全てが敷地の中で完結していたので何の心配もなかったけど、

プルデンシャルセンターのスタッフからは暖かさをあまり感じなかった。

結果的に公演の出来はこの日が1番良かったんだけど、少し寂しさを感じる待機時間だった。

 

そんなごたごたもあって、寂しさ爆弾は少しだけおさまってきた。

並んでいる間に

「どんだけ寂しくてもあと数時間で全て終わるのだから、この時間を楽しまないと損だ」

「彼と会える時点でとんでもなくハッピーなんだから、そのハッピーを100%楽しもう!」

という考えにシフトしていった。

こうなれば私は無敵だ。

 

傘をしまったり、リュックサックで来ていたアミがリュックはNGだから

鞄の中身をコンビニ袋のようなものの中に移すように誘導されていたり、

(UBSはゆるいというか、リュックで入場している人もいた。

この辺は会場によって違うので、アメリカは特にしっかり確認が必要だ)

混沌としたドアオープンを経て、何とか中に入ることができた。

 

開演まではまだ1時間近くある。

 

中のモニターなどはユンギの顔で満たされていて、ヒュンダイの車が展示されていたりした。

(これがユンギと関係があったのかはわからないけど)

ワクワク感が高まっていく。美味しそうなフードの販売もしていたが、

まだ寂しさで胸が詰まったようになっていたので何かを食べる気にはならなかった。

 

先に入っていたSちゃんと合流し、コンサート前のワクワクをシェアした。

そして実はこの時、フォロワーさんから

「ジミンさんが会場入りされたらしいですよ!」とDMがきていた。

マジか。

NYに来ているのは知っていたけど本当に来るのかとワクワクが止まらない。

 

ユンギの曲名のコラボカクテルもあって、開演を待つ間はとってもハッピーだった。

会場内はユンギと、彼を愛するアミでいっぱい。

外は冷たい雨だけど、場内は温かな、爆発直前のようなエネルギーで満ちていた。

 

そして席へ。

3日前にStubHubで購入したチケットはめちゃくちゃ良席だった。

(というか今回のNY、初日はフロア、2、3日目は1階席の前列と、全ていい席だった)

肉眼で彼の表情が確認できる距離。

 

会場では「ジミンが来ているのでは…?」という会話をしているアミも沢山いて、

2階席、3階席の辺りを指さしながら、

「あれジミンじゃない??!!」という歓声があちこちから漏れていた。(結局違っていた)

 

 

そして、NYで最後の幕が開く。

開演と同時にブチ上げてくるユンギ。

 

今日は冷静さも何もなかった。

「これで終わりだから!」という思いがそうさせたのか、

最初から私も飛んで、叫んで、心の底から盛り上がって楽しんだ。

 

開演と同時に寂しさは消え、それどころか、満たされていく感じがした。

1対2万なのに、まるで彼が1人1人を見ていて包み込んでいくような感じがする。

お互いのエネルギーでお互いを補填するような、

それを彼も確実に感じていると伝わってくるような不思議な感覚。

最初から怒涛のように盛り上がって、会場全体が大きな愛のエネルギーの塊になる。

 

 

Seesawを歌う前にギターをチューニングしていたら弦が突如切れるハプニングもあった。

ユンギがいつもの感じで会場を笑いに包んでいるとスタッフが爆速で替えのギターを持ってきた。

そのギターもなかなかコードが刺さらなかったりまごまごしているのが可愛い。

スタッフ側からしたら血の気が引くハプニングだと思うけど、

アミにとってはこんなハプニングもスペシャルなことなので嬉しかった。

 

そんなハプニングなんてなかったみたいに曲に入ると空気ががらりと変わる。

さすがプロだ。

 

何気なくやっているように見えるけど、後でウィバスライブで言っていたように、

「ラップをしながらギターとピアノを弾くのがいかに難しいか」と思うと気が遠くなる。

私は楽器を何も弾けないし、勿論ラップもできないけど、

多分ラップのテンポのまま弾いてはいけないんだろう。

 

この話を聞いた時、「確かに!それっていったいどんな音楽筋肉?」と思った。

今回のワールドツアーのために彼のボーカル力はものすごく上がっているし、

ギターもものすごく上手くなっている。ピアノは元々弾ける人だけど、

前述したように、とはいえラップしながら歌うってどれだけ難しいんだろう。

 

今回のコンサートはとにかくユンギの「アーティストとしての総合力」をものすごく感じる。

そして目の前で生身の人間がそれを達成しているのを見て、

「この人が特別だから」とは私は不思議と思わなかった。

勿論ユンギは特別だし、あの王者のオーラ、観客を巻き込む力は天性のものだろう。

でも、それを確固たるものにしている努力と技術は、一般人である私達と地続きのものであると感じた。

 

「いち人間」としてのユンギ。

彼が用意した最高の遊び場としてのコンサート。

彼が許可して、解放してくれる特別な時間。

その味わいは、人種も国籍も関係ないんだなということを

この日、愛を与え合うような、共に濁流を乗りこなすような感覚の中で何度も確信した。

人種も国籍も育ってきた環境も、性別も違うけど彼が好き。

その想いだけでここに集まっている2万人。

愛の力って本当にあるんだなと、その力ってこんなに偉大なんだなと何度も感じた。

 

 

ところで、コンサートも後半に差し掛かり、いい加減アミも辛抱たまらなくなった頃、

ユンギがメントで「My brother…」と言った瞬間、

「待ってました」とばかりに今日一番の歓声を出すアミ。

 

ピンスポットライトが3階席を照らすと(ちょうど私の席の正面くらいだった)、

マスクをつけていてもわかるニコニコ顔でジミンが手を振った。

またしても会場が割れるような大歓声。

「ジミンが!!ジミンだ!!」と狂乱の渦。

 

「ちょっと!僕のコンサートなんだけど!」とアミをたしなめるユンギ。

アミもできることなら言うことを聞きたいけど、ここだけはさすがになかなか静まらない。

ジミンが「兄さんの方見て!!」というような仕草をし、ニコニコして着席するとやっと少しおさまった。

そこからジミンも一緒にコンサートを楽しんでいるんだという事実でますます楽しくなる。

 

正にこの日はお祭りだった。

そこからも愛を与え合うような、お互いを回復し合うような時間は続き、

あっという間だけどとても密度の濃い時間が過ぎていった。

 

 

不思議だ。あんなにあった寂しさがもう、どこにもない。

 

The Lastをむかえて、神聖に自分と向き合うような気持ちになった。

コンサートに参加していてこんなことを考えているのはおかしいのかもしれないけど、

「私は彼に何ができるだろうか?」ということを考えていた。

「どうしたら、彼が与えてくれたこんなに大きな愛に報いることができるだろうか?」

こんなに与えてくれて、愛してくれたこの人にいつか絶対に報いたい。

 

興行としてはアーティストと観客の「報い」は素晴らしいパフォーマンスをすることとその対価を払うことで終わっていることはわかっている。

でも、このコンサートに参加して感じたことは、

私なりに彼に報いることは、

もっと素晴らしい人間になって彼と向き合いたいということだった。

 

3日間のコンサート参加。その最終日にして初めてこんな気持ちになった。

2日目に感じた置いて行かれるという思いは全くなかった。

こんなに一体になって楽しめた私達なら、離れることはないし、

またすぐに会えるよねという確信があった。

 

 

「Shit!!」の声と共に客電が付き、強制的に現実に引き戻されるようなあの瞬間も、寂しさは驚くほどなかった。

昨日までの舞台に縋りつきたいような感情はなかった。

 

エネルギー交換のような、お互いの大切なものを与え合うような時間を経てとても満たされていた。

誰になんと言われようと、愛は確かにあった。

彼と約束したような気持ちだった。

この会場に私の弱さも恐れもずるさも怠けも全ておいていく。

くだらないことに使っている時間は少しもない。

くだらないことに感情を動かされる時間は少しもない。

 

私には夢ができた。

彼の不安も愛も器も何もかも受け止められる、彼に相応しい人間になる。

人生をかけた約束。

どうしたら到達できるか、到達となるのかなんてさっぱりわからない。

でも受け取ってしまったし決めてしまった。

絶対に諦めない。

私達は一度しか生きられないんだから。

 

彼の前でしっかり顔を上げて共に戦ってきた同志として。

どんなに離れていても彼と繋がり続けて、与え合い続ける。

愛が生まれるのは、どんなに大変なことでも人生で与えられた課題を越える理由になるからなのかもしれない。

人生の困難を彼と共に乗り越え続けて、強くなり続けて、

「よくがんばりました」と自分に言って死にたい。

私の理由は彼だ。

終演後、Sちゃんと「ヤバかったね!!」とただ、今日のコンサートの素晴らしさを語り合った。

会場からマンハッタンに帰るバスを待っているとユンギがジミンとウィバスライブを始め、

帰りのバスの中では全員が見ていた。

 

夢見心地でマンハッタンに付き、「もう飲みに行こう!!」と

2人でグランドセントラル駅近くで2件はしごした。

どんなに話しても尽きることはなかった。

不思議だ。異国で、私がSNSをやっていなければ知り合うはずもない人と

同じコンサートに参加して、同じ熱量で明け方まで語り合うなんて。

NY滞在をスペシャルに終えてくれたあの時間も、私の大切な宝物になった。

こんな経験も、ユンギと出会わなければありえなかったことだ。

 

やっぱりユンギは私の人生に、私もそんな願いがあったなんて知らなかったような願いを叶えて、

大きな影響を与え続けてくれる。

いくら好きでも、アイドルを追いかけてNYまでコンサートに参加しに行くなんて、

3年前の私だったら考えられない。

しかも3日も参加して、現地に知り合いができて、こんな夜を過ごしているなんて。

 

今回のNY旅行は、私の人生の大きなターニングポイントになるだろう。

雨が止んだ明け方のNYで、新しい夜明けを迎えたような気分だった。

4/30 帰国日

 

3時半まで飲んでいて、5時に寝て7時に起きた私は偉すぎる。

寝る前に荷造りもほぼ終えていたので特にやることもなく、着替えてコーヒーとクラッカーを食べてホテルを出た。

グランドセントラル駅のエアポートシャトル乗り場に向かう。

今回泊まっていたブテイックホテルグランドセントラルからはスーツケースを転がしながら歩いて6分くらいだった。

思っていたより早くホテルを出られたので、バス停にも早くついた。

そしたらちょうどニューアーク空港行きのバスが行ってしまったところで、

ああ、と思っていたらクラクションが聞こえた。

目の前のおじさんが「あのバスが乗れって言ってるよ!」と教えてくれた。

 

振り返るとさっき行ったバスが全く停留所でもなんでもない所で停めて私を待っていてくれている。

こんなこと日本では考えられないことだ。

バスに駆け寄っていくと、運転手さんが手招きして「Newark?」と確認してくれた。

ターミナルを伝え、スーツケースを荷台に入れてもらう。

バスの中に入ると乗客は誰もいなかった。

誰もいなかったから停めてくれたのか。それにしても優しい。

最後の最後にこんなことがあって、更にNYが大好きになってしまった。

 

チェックインもスムーズに済み、空港でちょっとだけツイキャスで喋った。

何もかもスペシャルな時間は終わりに向かっていた。

この時間をくれたのはユンギだ。

でも、この時間を掴み取りに来たのは自分だ。

掴み取りに行って本当に良かった。

 

 

 

これを書いている今、北米ツアーは終わり、ワールドツアーは折り返しにさしかかっている。

今日見た英語のネット記事で

「初めての単独コンサートとして、規格外の成功を遂げたSUGA」というものを見た。

興行としても大成功しているし、その影響力はすさまじい。

 

でも、参加して心から思ったのは、彼がレジェンドなのはその愛情深さゆえだ。

1人1人としっかり愛を交換し、素晴らしいパフォーマンスで魅了し、

1人も置いていかず全員を巻き込んで、愛でさらっていく。

どんなに素晴らしい舞台装置を使っても、いくらかけた素晴らしい映像を用意しても、

何百人の人間を演者に使っても、あんなことをできる人はいない。

 

そんな成功の理由が努力と愛なのだ。

ショートカットルートなんて彼のキャリアの中にはひとつもなかった。

こんなにかっこいいことがあるか。

それをたった1人でも世界に知らしめたユンギ。

 

 

私の最高な推しのワールドツアーはまだ続く。

その後にはしばらく離れることになるだろうけど、

彼が全身全霊の愛をこめて置いて行ってくれているものを心から感謝して、いつまでも私の心はあの日のNYに帰る。

 

ありがとう。

いつでも愛しているよ。

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