推しと私⑥ 「イロさん」スタート

推しと私
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BTSにのめりこんでいくうちに、Twitter(現X)の使い方を考え直さなくてはいけなくなってきた。

 

今までの漫画のオタクアカウントでは

フォロワーさんにあまり興味がないかもしれない私のBTSの呟きや、私がいいねをしたツイートが延々流れてきてしまうので、

BTS用のアカウントを新しく作った。

 

その時は知る由もないが、

それがフォロワー1万人、ブロガー、マインドコーチである

「イロさん」の本格スタートだった。

 

 

最初はARMY=アミ(BTSのファン)の人懐っこさに驚いた。

 

今までいた界隈は基本的に敬語で、人は人、我は我という雰囲気があった。

私も物心ついた頃にはオタクであり、オタク界隈にいた歴史は長いので、なんとなくそれが主流なのは感じている。

しかし、冗談を言って笑うよりも何年も前の供給を何度も味わいながら「ここがいい、ここが尊い」といつまでも話しているかわいいアミ。

ジャニーズ等のオタクをしたことがないので他のアイドル界隈と比べられなくて申し訳ないのだが、

推しの可愛さ、かっこよさに悶えながら最新の供給を追い、お互い肩をバンバン叩きながら笑っているようなアミの仲の良さは衝撃だった。

 

「愛している」「かっこいい」「お前のそういうところがいい」と

日常的にお互いを誉めあうBTSの姿を毎日見ているためか、

アミも「あなたのここが素敵」「そういうところ大好き」と言うのを厭わない。

ものすごく頻繁にそういう言葉が飛び交っている。

 

私もこういうところで誰かと仲良くなってみたいな、ユンギが好きな思いに共感してもらえたら嬉しいな、と思った。

 

更に、すぐに気付いたことは、人懐っこくてエネルギッシュなアミも、誰推しかでなんとなくの傾向があることだ。

 

ナムペンは知的でママ感がある。

ジンペンはかわいいもの好きでやや皮肉っぽい。

ホビペンはバリキャリの匂いがするいい女。

ジミンペンは社交的で一番Twitterを楽しんでいる感じ。

テテペンは女子っぽくて繊細そう。

グクペンはスタイルが良くてエネルギッシュ。

そしてユンギペンは一番オタクらしくてうるさい(笑)

でもそのうるささの中に、「この人たちはネットではこんなに騒いでいるけど実際は大人っぽくていい人なんだろうな」と思わせる要素がある。

 

2か月ほどTwitterを徘徊しながら、そんなアミたちのなんとなくの傾向を見つけたりして、いとおしくなりながら楽しんでいた。

この頃はまだ相互フォロワー数十人のアカウントだった。

 

当時Twitterに「スペース」という機能が新規搭載されたころだった。

大スペース時代が訪れ、私も友達のところで複数人でおしゃべりしたりしていた。

ものすごく楽しくて、リスナーがいるのも新鮮だった。

しかし、スペースをのホストをするには当時はフォロワー600人が必要で、

(現在は撤廃されていてフォロワー数に関わらずスペースは開催できる)

BTSの動画を自主編集してアップするフォロワーの多い友達に誘われてしゃべっていたのだが、

「自分でホストしたいけど、無理だろうなあ。そんなに多くのフォロワー、ついてくれるわけないなあ」って思っていた。

 

 

ところが、である。

 

 

2021年のGW

「ユンギペン、Twitterではうるさいオタクだけど

実際に会ったら大人シックで優しい人たちなんだろうな」

みたいなことをツイートした。

 

その日は確かAbemaでGW限定無料配信でBTSの初期の頃の日本公演を見られた。

息子を寝かしつけ、コンサートを見始めてしばらくした頃、Twitterの通知が鳴った。

 

さっきのツイートにいいねがついたらしい。嬉しい。

あ、今度はフォローしてくれた人がいる。

「なんだこの優しい人!即フォローだ!」だって。嬉しい。お返事しよう。

あ、またいいねだ、あ、またフォローだ

え?なに?何これ?

 

2時間の公演映像を見ている間、Twitterの通知は鳴りっぱなしだった。

いいねが数十件つき、いいねの分フォロワーさんが数十人増えていた。

こんなことは初めてだった。

BTSのファンダムの大きさを初めて実感した瞬間だった。

 

 

そう。私のフォロワーさんが増えた1番の要因は私が特別な人間だったわけではない。

BTSの公式Twitterのフォロワー数は4400万人。世界的なファンダムの規模はすさまじい。

 

元々BTSはSNSでファンとの繋がりを大切にして伸びていったグループということもあって、

今でもファンとBTSとのSNS上の繋がりは強固だし、

ファン同士で毎日盛んにSNS上で情報交換が行われている。

 

「BTSのファンダムが巨大」で、

「活動的なファンダムだったこと」が私がフォロワーを増やせた要因だ。

現に、BTSのファンダムではフォロワー1万人以上の方は私が知る限り日本だけで当時100人以上いた。

更に、起業家目線で数年SNSに触れてきた今思うと、

私がアカウントを伸ばせた理由は他にもある。

 

「代弁」と「いつもいること」「継続」だ。

このふたつは「貢献」とも取れる。自分の所属する世界に貢献すること。

人は、自分が直接利益を得ていなくても、その界隈に貢献してしている人を好きになってくれるものだ。

つまり、その人にとって貢献ではない行動(その人にとって好ましくない行動)はカウントされない。

「貢献だ」とカウントする人だけがフォローしてくれる。

推し活界隈で人が人をフォローする理由って、こんな感じにとてもシンプルだ。

 

あとはいつもいること。

「いつもいて」「いつも同じような質の投稿をし」「代弁してくれる」

これは私がBTSの推しアカウントを3年運営している間フォロワーさんが何度も言ってくれたことだ。

 

 

更に、一定の質の投稿を一定期間続けること。

別に抜きん出て質が高い投稿をする必要はない。

でも、自分なりのツイートの質を担保している人はやっぱり安定してフォロワーがいる。

 

「1万人が始め、1年後に続けている人は100人、10年後に続けている人は1人」

と言われるように、人はただ続けているだけで0.1%に入り、その集団で突出することができる。

 

ただし、タスクになると無理だ。

人はやる気や損得だけでは絶対に続けられない。

本気で好きなこと。本気で楽しんでいること。

これがないと続けることも、愛されることもできない。

 

結果から言うと、私のアカウントは現在約フォロワー11000人。

「インフルエンサー」としては決して多くない。

けれど、本気の愛と熱量で2年半(今年の8月まで)毎日ツイートを続け、

2024/03/07現在ツイート数26600。

これくらい継続すれば、誰でもこのくらい伸ばせると思う。

むしろ周りを見れば私は伸ばせていない方だ。

一気にフォロワーが数万人増えるような爆発もしたことがない。

 

けれど、「最低限これくらい面白い投稿でありたい」というラインを無意識に設けていた私のアカウントは、ゆるゆると伸びていった。

話を2021年に戻そう。

  

一度の小バズりからちまちまとそのツイートと私の過去ツイートも伸びていき、

どんどん人脈が広がっていった。

人脈が広がるともっともっとTwitterは楽しくなっていった。

 

そのあたりでButterが発売されて、初めてのカムバ(KPOPでは新曲発売のことをカムバック、略してカムバと言う)に皆で大盛り上がりし、お祭りムードを楽しんだ。

今までだったら写真1枚見るたびに「ああ、素敵‥」と思って、誰に届くかもわからないツイートをぽんと空に投げていただけだったけど、

一緒に「かっこよすぎる」「スタイリングが良すぎる」「ていうかこの曲ものすごく好き」と夜通し語り合えるような友達ができて本当に本当に楽しかった。

 

 

嬉しくなった私は何かTwitterで修行をしてみたくなった。

ただ楽しませてもらうだけじゃなくて、人に楽しんでもらいたい。

そして1ヶ月間、雑談ではなく、毎日何らかのネタツイートすることにした。

写真で一言のようなものだったり、考察だったり。

「これは修行だ」という意識でやっていたので、とにかく1ヶ月続けることが目標だった。

いいねの数は最初が1番多くてどんどん減っていったが(これはどんなものでも続けていくとフォロワーさんが飽きてくるから起きる現象)、

途中で爆発をした。

 

「ここ数週間TLを彷徨って見かけた各ペンの印象」というツイートが爆伸びしたのだ。

BTSのメンバーのファンそれぞれの印象に何となく共通の匂いのようなものがあるのは先述した通りで、それを感じたままに書いたのだ。

 

本当にテキトーに10分くらいで書いた。

そして、それがツイートすると同時に通知が鳴りやまなくなった。

あの時と同じだ、と思ったが、今度は半日経っても鳴りやまない。

もう怖くなって通知を切ってしまった。

そして、そのツイートは1日でいいね400件、引用RT数十件された。リプもたくさんきた。

今こうして見れば大した数じゃないんだけど、

それまでいいねが100件越えたツイートが1つあるだけで、相互フォロワーのみで200人くらいで

世界の片隅で適当なことを言っていただけの私は

「私の身にこんなことが起こるの??!」と宝くじでも当てたような気分だった。

フォロワーさんもすごい勢いで増える。

そして数日で「どうやったら越えるんだろう」と思っていたフォロワー600人を越えた。

 

そこからは1カ月アウトプットのツイートにも今までの比にならない数のいいねがつき、

1カ月アウトプットを終えた。

そして私は「1ヶ月Twitter上でアウトプットし続けられた」という小さな自信がつき、フォロワーは800人を越えた。

更に、「私は洞察力があるのかもしれない」「面白いことが言えるのかもしれない」という今まで思ってもなかった自分の長所にも気付くことができた。

 

 

 

この経験を経て私は気付いた。

人は、自分の話をされるのが好きだ。

 

推しよりも、ファンの人となりをツイートした時の伸び方はすさまじかった。

それは今でも変わらない。

「このメンバーって〇〇だよね」とツイートするよりも、「このメンバーのファンって〇〇だよね」とツイートした方が喜ばれる。

皆、自分の話をしてほしいから。

 

 

それにしても、こんな風に数字で何かを成し遂げたのなんて、営業をやっていた時以来だ。

結婚生活で上手くいかず、産後鬱になっていた私が、

何にもやりがいを見いだせなかった私が、

こんなに目に見えて何かを現在進行形でやれている、ということが嬉しくてたまらなかった。

何の価値もないとされていた私の感覚や、洞察や、文章力を評価してくれる人がたくさんいる。

 

何より人と文章でといえ毎日話ができる。

毎日毎日話しても言葉が宙を舞って受け取ってもらえず

消えていくような日々を過ごしていた私にとって、

まず、誰かが「受け取って、返してくれる」のが嬉しくてたまらなかった。

人との縁が希薄で、誰かに「好きだよ」と言ってもらえることなんてなかった私が、

私もこの人が大好きだなと思える沢山の人と縁ができた。

Twitter上で知り合った大切な友達を心から大切に思っているし、この縁が細く長く、

できるだけ長く続けばいいなと本気で思っている。

 

誰よりも私はTwitterを楽しんでいたと思うし、

今でも私がTwitterをとても楽しんでいるのはここへの感謝が一番強い。

 

話を聞いてくれる、書いたものを読んでくれる。

この嬉しさは、今でも私の原動力になっている。

 

 

 

けれど、ちょっとずつ戸惑うことも増えてきた。

沢山の方が毎日リプをくれる。それに返信したい。

でも、数が多くてなかなかすぐにはできない。

 

フォロワーさんの数もどんどん増えて、

300人くらいまではアイコンと人となりが一致していたけど、

600人を越えた頃はもう不可能になっていた。

本当に申し訳ないのだが、前話した時敬語だったかタメ口だったかも思い出せない。

 

どうしよう。と考えて、というか、考えながら毎日Twitterを使っていて、

「Twitter上の人格」を誕生させてしまうのはどうだろう、と思いついた。

 

そこで私の性格と矛盾せず、よりTwitterを楽しめそうだなと思ったのが、

現実にはあまりいない「典型的なセクシーなお姉さん」。

 

知的でユーモアがあってセクシーでサバサバしているお姉さん。

私が憧れているタイプの人でもあるし、でも彼女も確かに私で、

私が本来言いたいことを言ってくれる人。

 

彼女は「~でしょう?」「~だわ」「冗談じゃないわよ」というようないわゆる「女言葉」を使い、

誰に対してもタメ口で面倒見がいい。

そうそう、私、こんな人になりたかったの。と思って、ある日突然ツイートの言葉遣いを変えてみた。

そうすると既存のフォロワーさん達からもさほど驚かれず、もっと面白がってもらえて、より認知されやすくなり、フォロワーさんは増えていった。

そうして少しずつ、Twitterの中に「イロさん」というお姉さんを確立させていった。

 

更にいいことは、イロさんは誰に対してもタメ口なので、

「この人と前話したことあったっけ?タメ口だっけ?敬語だっけ?」と、悩む必要がない。

誰からリプやDMが来ても「あら〇〇ちゃん私もそう思うわ」と返せるという思いもよらないメリットがあった。

 

現実の私は冴えない田舎の奥さんで、

毎日育児と家事で精一杯で色んなメンタルの困ったことも起きているけど、

Twitterを開けば、1000人以上の人に愛されている「イロさん」になれる。

 

「イロさん」の誕生は私を救った。

最初の伸びから2か月後、改めて書き直したツイートは3000いいねを超えた。

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