運動が苦手だ。
学生時代は走ればビリ、体はクラスで1番かたく、ドッジボールは最初に外野に行き、
ボールを投げても30センチしか飛ばず、前転は上手くできず、泳げない。
本当に本当にできる運動が一つもない。
体育の時間は「私はできない」と思い知らされる時間だった。
勉強は割とできたので、ムカつくから筆記では高得点を目指していたが、それでも通信簿は3以上ついたことがない。
体育なんていやだよー---!!!私は運動なんてできないよー--!!!という思いから、
高校球児すら斜めに見て、サッカーやバレーボールで日本が盛り上がっていても「何さそんなことで」という気持ちだった。
ちなみにクラスで一番足が速いナントカ君にときめいたことはない。
小学生時代私が好きだったのは幽遊白書の蔵馬だったし、
次にあこがれたのはいつも図書室にいた長身でロングヘアで色白で眼鏡の先輩(女性)だった。
元気かなあ先輩。私に三島由紀夫と寺山修司を進めてくれた先輩。
高校生には難しかったなあ。
という甘酸っぱい話は置いておいて。
「スポーツが得意」というのをちらつかせた時点でその男はちょっと圏外になるくらいスポーツとは因縁がある。
でも。
運動ができないというのは大変不自由だ。
何かというと「まあ私はできないしな」と思うし、
実際やってみてあんなにできないこともないと思う。
まっすぐ線の上を歩くことができるのかどうか微妙だ。もはやリハビリだ。
「この運動好き」ということすら、「言ったからにはある程度のレベルじゃないといけない気がする」とドキドキするので言えもしない。
大変不自由だ。
大人になって、もうこの因縁が面倒くさくて、実は色々試した。
地域のスポーツクラブに行ったり、演劇仲間とバドミントン同好会を作ったり。
でもこれらは面倒くさくなって3回もしてない。
次にランニングをしてみたり、ダンスをしてみた。
これらは1人でできるし、1人でする分には人と比べる必要がないので楽しくできた。
ランニングに関しては今でも好きだ。1日30分くらい走ったり歩くことを意識したら痩せたし体も締まった。今でも好きだ。
ダンスもやってみると楽しい。まるで自分がアイドルになったような気分に気軽になれる。
でも、1カ月も取り組むと飽きてしまう。
もういっそ筋トレだけやろうと思ってYouTubeで筋トレを見て取り組むようになった。
気軽だし、意外と続いた。
3カ月くらいやって、飽きて半年くらい放置して、またこれじゃいかんと思ってやりだす、みたいなことが何年か続いた。
だが、効果が出たと思ったことはない。
今は息子もいるし、ランニングしたいけどなかなか30分も時間を取れない。
あとそもそも私は北海道に住んでいるので外を走れるのなんて年に2/3だ。
困ったなあと思いながら、韓国料理にハマったり、どんどん美味しいものが世の中に増えていって体重は増える一方だ。
出産もしているし、35歳だし、体型はかなりゆるんできている。
お尻は四角いし、背中の肉はひだのようになっているし、お腹はぽこんとしている。
157cmに身長が固定された16歳から30歳まで48キロだったけど、
現在は55キロだ。体重は一つの指標でしかないけど、もうちょっとなんとかしたい。
体重を3キロ落として、外見がキレイになりたい。
推しが一見体が使える人に見えないけど動いたらスポーツ万能なこともあり、
バンタン皆のひたむきにダンスに打ち込む姿、楽しそうにスポーツをする姿、
そして磨き上げられた「動くための美しい体」を毎日みているうち、
私も「生まれてから一度も運動に打ち込んだことのない体」ではなく、「少しは使えると見て取れる体」になりたい。
と思うようになった。
ということで推しもやっているというピラティスをはじめた。
マシンピラティスというKPOPスターが多くやっているという器具を使ったピラティスがいい。
今までこういったところに通ったことはないのでさっぱりわからなかったが、私の住む地域ではマシンピラティスを扱っているところはマンツーマンしかなかったのでそこに決めた。
予約をし、当日不安を抱えながら雑居ビルの一室にあるスタジオに入った。
出迎えてくれた先生はとんっっっっっっっっでもなくスタイルが良かった。
ほぼヨジャドル。鍛え上げたヨジャドル。
ウエストなんて男性の太ももくらいしかない。
全身がしなやかな筋肉に覆われたとんでもなく細く、美しい先生だった。
この時点でビビり倒す私。
「あのう、あのう、スポーツを、あのう、全然やったことがなくて…」
このヨジャドルアスリートのような先生の前でこんな筋肉のかけらもないスライムが申し訳ありませんという気持ちだ。
「そうなんですね。器具が正しい姿勢に導いてくれるので大丈夫ですよ」
とサラリと応えられて体験レッスンが開始した。
そもそも私は1時間も続けて運動したことがないんですが大丈夫でしょうかと思いながら脳内でハードルを爆上げし、先生が負荷を最小限にしてくれたのか、思っていたほど辛くはなかった。
途中で「もうできません‥」となることだけは阻止しなければと思って頑張った。
辛いけどね!!!
「はい、かかとをバーに乗せて、片足で伸びてください。はい、次は足をテーブルトップ、90度に上げて固定して、息を吐きながら上体を上げてください」
混乱。
もうどうしたらいいのかわからない。
ピラティスは呼吸が大切なので吸って、吐いてと先生が都度指示してくれるけどそっちを意識しながら足を上げたり下げたり上半身を上げたり足を回したり腰を上げたり足首の位置をどうのこうの…
ファーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
私は反り腰なのですぐ腰が浮いてしまう。
それを何度も「はい、腹筋に力入れて薄くして、背中反らないようにー」といってもらう。
申し訳ないし、一生懸命力を入れてもさほど改善しなくて不甲斐ない。
でもなんとか必死で食らいつき、1時間のレッスンを終えた。
「はい!お疲れ様ですー!」と言われた時の解放感たるや。
終わってみると両足がホゲホゲだった。
「ここから駐車場まで5分歩けるだろうか」と不安になるくらいのおぼつかなさだ。
しんどかったけど、続けると決めたので次回以降の契約をして、週1回、最低2カ月は続けてみようと思った。
マンツーマンだからお金もそれなりにかかる。必ず結果を出さなければ。
ちなみにここで帰り道にあったスープカレー屋さんに入ってしこたまスープカレーを食べてしまい、慣れない運動とスープカレーの油にやられてこの夜は寝込んでしまった。
不甲斐ない。
そうして1カ月が経った。
おや?負荷が少し増えてきた気がする。
ブルブルしていた足も少しだけコントロールできるようになってきた気がする。
先生とも少しだけ打ち解けてきた。
最初の反省を踏まえてピラティスの後はサラダ等昼食は軽く済ませるようにした。
呼吸を深くするからか、ピラティスの後は疲れ切ってぐったりしてしまうというよりも、頭が冴えて色んな事をしたくなる。
このブログの記事を書いたり、今カウンセラーになるため勉強をしているので勉強をしたり、将来のプランを書いたり、頭を使うことを積極的にやるようになった。
そして先日、2カ月目のレッスンが終わった。
継続することは決めていたので、先生とその話をしながら、まずこの2カ月の感謝を述べていると、
「筋肉つきましたね!最初の頃は足もかなり震えてしまって、腹筋もコントロールできない感じだったけど、今はどちらもできてますよ!!
あと、目が違います。自信に満ちている感じがしますよ」と先生が褒めてくれた。
嬉しい。
自分でも色んなポーズをとる時にコントロールできるようになっている感じがする。
足をこう延ばして、腰は背中が浮かないように。腹筋を使って薄く薄く。お尻に力を入れて、太ももで締めて、というのができるようになってきている。
もっとできるようになりたい。もっと体をコントロールしたいという欲が湧いてきている。
こんなことは今まで生きてきて初めてだ。
体も見た目が変わってきた。
まず、お尻が上がって少しだけカーヴィーになってきたし、
力を入れていなくても腹筋が最低限筒のようにお腹を締めている感じがする。
だるんと垂れていたお腹の肉が、力を入れると細く、硬くできるようになってきた。
あ、でも贅肉が筋肉になったのか体重は変わってない。
でも見た目は変わったよ!!
体が変わると楽しいから、今は家でも毎日かかと上げ運動朝晩20回を2セット。
スクワットを40回やっている。
やらないと気持ち悪く感じるほどだ。
それに加えて行ける時は30分ランニングにも行くようになった。
運動すると体の上の脂肪がわずかでも筋肉になっているような感じがして気持ちいい。
自分のペースで体に向き合えばこんなに楽しいことを今まで知らなかった。
できないことも、小さなステップを繰り返して今までも色んなことを乗り越えてきたのに、ことスポーツだけは自信がなかった。
でもスポーツも例外ではなかった。
とにかく腹筋が5回しかできないなら、6回できるように頑張って、6回出来たら心から喜べばいいんだ。
今まで肩がこったらマッサージに行ったりしていたし、今でもマッサージは好きだけど、
自分でストレッチローラーで首をゴリゴリしたり、肩を回した方が効いてる感じがするし継続できる。
でも正直やりながらめっちゃしんどい時もあるからそういう時は
「ユンギも!!これ!!多分!!やってる!!」と思いながらやってる。
やっぱり推ししか勝たんな!!!!!
ガハハハハハハハ!!!!!!
みんなもやろうぜピラティス!!!!!!
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